
この記事の著者:蕎麦ソムリエ・タカシ
年間300食以上の蕎麦を食べ歩く蕎麦鑑定士。「マナーは相手への思いやり」を信条に、初心者でも楽しめる粋な蕎麦の作法を伝授します。
彼女との出雲旅行、ランチは名物の「割子そば」で決まり。
でも、ガイドブックを見ていて「食べ方が特殊らしい」「マナーを知らないと恥をかくかも」と、少し不安になっていませんか?
普通のざるそば感覚で食べると、つゆが足りなくなったり、味が濃くなりすぎたりして、せっかくの美味しい蕎麦が台無しになってしまうこともあります。
何より、デートでスマートに振る舞えないのは避けたいですよね。
安心してください。
出雲そばには、殿様が愛した「粋な流儀」がありますが、ポイントはたった一つ。
「つゆのリレー」さえ覚えれば、初めてでも立派な「出雲そば通」に見えます。
この記事では、蕎麦ソムリエの私が、初めてでも失敗しない「割子そばのスマートな作法」と、デートにふさわしい「格式ある名店」をご紹介します。
予習はこれでバッチリ。自信を持って、彼女をエスコートしてあげてください。
なぜ「割子」なのか?殿様のピクニックから始まった歴史
まず、食事中の会話のネタになる「ウンチク」を一つ。
なぜ出雲そばは、あのような丸い器(割子)に入っているのでしょうか?
実はこれ、江戸時代の「お弁当箱」がルーツなんです。
当時の松江の殿様が、野外で蕎麦を食べるために、四角い重箱に蕎麦を入れて持ち運んでいました。
それが後に、より洗いやすく衛生的な丸い漆器へと変化し、現在の「割子(わりご)」の形になったと言われています。
つまり、割子そばは元々「殿様のピクニック弁当」という、とても優雅な歴史背景を持っているのです。
そう思うと、一段一段重ねられた器が、なんだか特別なものに見えてきませんか?
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【完全図解】彼女も感心する!スマートな「つゆのリレー」3ステップ
それでは、いよいよ実践編です。
割子そばの最大の特徴であり、最も重要な作法である「つゆのリレー」を解説します。
普通のざるそばは、つゆに麺を「つけて」食べますが、割子そばはつゆを器に直接「かけて」食べます。
そして、食べ終わった器に残ったつゆを、次の段へ移していくのが「リレー」です。

Step 1:1段目は「の」の字を一回だけ
一番上の段に薬味を乗せ、つゆをかけます。
ここで重要なのは、「かけすぎない」こと。
出雲そばは風味が強いので、つゆは少なめで十分です。
「の」の字を一回書く程度が適量です。
Step 2:残ったつゆは2段目へ
1段目を食べ終えたら、器に残ったつゆを捨てずに、そのまま2段目の蕎麦にかけます。
味が薄いと感じたら、徳利から新しいつゆを少し足してください。
これが「つゆのリレー」です。
出雲地方の「もったいない精神」から生まれた、SDGsな作法でもあります。
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Step 3:最後は蕎麦湯で締める
3段目も同様にリレーして食べ終えたら、最後に残ったつゆを蕎麦湯の器に入れ、飲み干して終了です。
この一連の流れがスムーズにできると、とてもスマートで「通」に見えますよ。
黒いそばには理由がある。「挽きぐるみ」の香りを愉しむコツ
出雲そばを見て、「色が黒いな」と思ったことはありませんか?
これは、蕎麦の実を殻ごと挽く「挽きぐるみ」という製法で作られているからです。
殻ごと挽くことで、色は黒くなりますが、その分蕎麦本来の香りが強く、栄養価(ルチンやミネラル)も非常に高くなります。
健康や美容を気にする女性にも嬉しいポイントですね。
通な楽しみ方:まずは「そのまま」
香りが強い出雲そばだからこそ、できる楽しみ方があります。
1段目を食べる時、つゆをかける前に、まずは麺を一本だけそのまま食べてみてください。
口いっぱいに広がる野趣あふれる香りを彼女と共有できれば、食事の時間がより豊かになるはずです。
デートならここ!格式と味を兼ね備えた「献上そば」の名店2選
作法をマスターしたら、次は店選びです。
デートで失敗したくないあなたに、格式と味、そして雰囲気を兼ね備えた間違いのない2軒をご紹介します。
1. 皇室献上の歴史を持つ「献上そば 羽根屋 本店」
「せっかくなら一番良い店に行きたい」という方にはこちら。
江戸時代末期創業の老舗で、大正天皇に蕎麦を献上したことから「献上そば」の名を許された名店です。
石臼で手打ちされた蕎麦は、喉越しが良く上品な味わい。
落ち着いた和の空間は、大人のデートにぴったりです。
出雲で一番おいしいとおすすめなのが、「献上そば 羽根屋 本店」なのです。
📍 住所 島根県出雲市今市町本町549
☎️ 電話番号 0853-21-0058
🚆 アクセス
JR山陰本線「出雲市駅」北口から徒歩約5分
🚗 車アクセス
山陰自動車道 斐川インターから車で約10分
🍜 営業時間(通常)
- 11:00〜15:00
- 17:00〜19:30(ラストオーダー19:00)
※そばがなくなり次第終了の場合あり
📅 定休日 1月1日(元日)
2. 出雲大社目の前!おしゃれな「そば処 田中屋」
「観光の合間にスマートに立ち寄りたい」という方にはこちら。
出雲大社の正門(勢溜)のすぐ目の前という最高の立地。
店内はモダンで清潔感があり、女性ウケも抜群です。
少し甘めのつゆが、歩き疲れた体に染み渡ります。
📍 住所 島根県出雲市大社町杵築東364
☎️ 電話番号 0853-53-2351
🚆 アクセス
-
一畑バス「出雲大社 正門前」すぐ
-
一畑電鉄「出雲大社前駅」から徒歩約5分
🍜 営業時間(通常)
11:00〜16:00(※そばがなくなり次第終了)
📅 定休日 木曜日(※変更や臨時休あり。公式サイト要確認)
まとめ:作法は相手への思いやり。自信を持ってエスコートを
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「つゆのリレー」、イメージできたでしょうか?
作法といっても、堅苦しく考える必要はありません。
それは、蕎麦を一番美味しく食べるための知恵であり、一緒に食べる相手への話題提供(思いやり)でもあります。
予習はバッチリです。
自信を持って、彼女をエスコートしてあげてください。
殿様も愛した割子そばが、二人の出雲旅をより思い出深いものにしてくれるはずです。
参考文献
- 出雲そば – 出雲観光ガイド – 出雲観光協会
- 献上そば 羽根屋 公式サイト – 献上そば 羽根屋