出雲大社は縁結びの神様として全国から多くの参拝者が訪れる神聖な場所です。
しかし、「行ってはいけない日がある」と耳にしたことはありませんか?
仏滅や不成就日、さらには神在月や祭事の日など、気になる要素は多々あります。
本記事では、迷信や風習、出雲大社ならではの神事との関係を丁寧に解説し、参拝のタイミングに悩む方が安心して参拝計画を立てられるようにナビゲートします。
❶ 出雲大社に“行ってはいけない日”はある?その真偽とは
出雲大社は縁結びの神様として知られ、全国から多くの参拝者が訪れる神社です。
その神聖な雰囲気や歴史の深さから、「行ってはいけない日がある」といった噂や言い伝えを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際にインターネットやSNSなどでは、「仏滅の日は避けた方がいい」「神在月には神様の会議中だから参拝は控えるべき」「特定の行事日には一般の参拝は失礼」など、さまざまな説が語られています。
中には「女性は生理中に参拝すべきでない」といった話もあり、何を信じるべきか戸惑う人もいるでしょう。
しかし、これらの“行ってはいけない日”の多くは、伝統的な民間信仰や風習、いわゆる迷信に基づくものであり、出雲大社をはじめとする神社側が公式に「この日は参拝を禁止する」としているケースは極めてまれです。
つまり、現実には「絶対に行ってはいけない日」というものは存在しないのです。
とはいえ、迷信とはいえ長く語り継がれてきた背景には、それなりの意味や配慮があることも確かです。
たとえば、大祭などの重要な神事が行われる日には、一般の参拝が制限される時間帯があることもあります。
また、混雑が激しくゆっくりと参拝できないような日を“避けたい日”と考えるのも、現実的な判断のひとつです。
このように、「行ってはいけない日」という話題には、信仰・迷信・風習・混雑・神事など、さまざまな要素が絡んでいます。
本記事では、それらの要素をひとつひとつ丁寧にひもときながら、実際に何を気をつけるべきか、参拝に適した時期はいつなのかを分かりやすく解説していきます。
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❷ 迷信・風習として語られる“行ってはいけない日”の代表例
「出雲大社に行ってはいけない日がある」とされる根拠の多くは、正式な宗教的教義ではなく、古くから語り継がれてきた民間の迷信や生活習慣に基づいています。
ここでは、特に参拝を避けるべき日として語られることが多い代表的な例を紹介し、その意味や背景を解説します。
❖ 六曜と参拝:仏滅・赤口・不成就日は避けるべき?
六曜(ろくよう)は、暦注の一種で「大安・友引・先勝・先負・赤口・仏滅」の6種類からなります。
特に「仏滅」や「赤口(しゃっこう)」は凶日とされ、結婚式や新しい物事のスタートを避ける日とされています。
これに関連して、「仏滅の日は神社参拝にも向かない」「赤口は午前午後が凶で、正午前後しか吉でない」などの俗説が広まっています。
しかし、六曜は本来仏教とも神道とも関係がなく、鎌倉〜江戸時代以降に民間で広まった習俗にすぎません。
出雲大社をはじめとする神社では、六曜に基づいて参拝を制限するという公式な方針はなく、神道には「凶日」「吉日」といった概念そのものが存在しません。
つまり、仏滅だからといって参拝が不適切ということはなく、神社側も特に気にしていないのが実情です。
ただし、気にするかどうかは参拝者自身の価値観に委ねられるため、「せっかくなら縁起の良い日がいい」と感じる方は、大安などを選んで参拝するのも一つの考え方です。
❖ 生理・けがれの観念と神社参拝のタブー
古くから日本には「けがれ(穢れ)」という考え方があり、死・血・出産・月経などは“忌み”の対象とされてきました。
これにより、月経中の女性が神社に入るべきでないという風習が一部に残っています。
とはいえ、現代の神社においてこの考え方が強制されることはほとんどありません。
出雲大社を含め、女性の参拝を制限している神社は極めて稀であり、多くの神職の見解としても「気にせず参拝してよい」とされています。
大切なのは、「自分が心身ともに清らかな気持ちで参拝できるかどうか」です。
体調や心の状態に不安がある場合には無理をせず、気持ちよく参拝できるタイミングを選ぶのが理想でしょう。
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❖ その他の俗信:「朝参り」「夕方参り」「喪中」などの注意点
六曜やけがれ以外にも、参拝にまつわるさまざまな俗信が存在します。
たとえば「朝の参拝がよい」とされるのは、太陽が昇る清らかな時間帯に祈ることが、神聖な行為とされるからです。
一方で、「夕方や夜の参拝は神様が休んでいる時間帯だから良くない」といった考え方もあります。
ただし、これらもあくまで風習や感覚の問題であり、実際には時間帯を問わず参拝は可能です。
また、「喪中に神社へ行ってはいけない」とされるのもよく聞かれる話です。
これは“けがれ”の思想に基づいたもので、忌明け(いみあけ)までの期間は参拝を控えるのが一般的とされてきました。
しかし、これも厳密な決まりではなく、「自分の気持ちが整ってから参拝したい」と思うかどうかが最も重要です。
これらの例からわかるように、「行ってはいけない日」とされる多くの要素は、個人の信条や感じ方によって意味合いが変わるものです。
迷信や風習を尊重する気持ちも大切ですが、最終的には自分の信念と心構えに基づいて判断することが、最も自然で神聖な参拝の在り方だと言えるでしょう。
❸ 出雲大社固有の行事から見た「避けた方がよい日」
出雲大社には他の神社にはない特別な行事が多く存在し、それらが行われる日は参拝のタイミングとして注意が必要な場合があります。
ここでは、出雲大社ならではの伝統的行事とその背景を解説しながら、参拝計画を立てるうえで意識しておきたい点を紹介します。
❖ 神在月(かみありづき)とは?全国の神々が出雲に集う特別な月
旧暦10月(現在の新暦ではおおむね11月)は、出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
これは、全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲大社に集まり、人々の縁や運命について会議を行うとされる神聖な月です。
一方、出雲以外の地域ではこの時期を「神無月(かんなづき)」と呼び、神様がいなくなるとされるため、対照的な意味を持ちます。
それほど出雲はこの月において特別な場所とされ、神在月中の出雲大社は、普段以上に神聖な空気に包まれます。
この期間中は多数の神事が集中するため、参拝自体は可能であるものの、通常とは異なる雰囲気や制約を感じることもあるでしょう。
❖ 神迎祭・神在祭・神等去出祭の日程と注意点
神在月の中心的行事として、以下のような神事が行われます(年により日程が若干変動します)。
神迎祭(かみむかえさい):旧暦10月10日頃
神々を出雲にお迎えする儀式。稲佐の浜で行われ、夜には神楽殿での神迎神事も。
神在祭(かみありさい):神々が滞在する期間中、何度か執り行われる祭事。
八百万の神々が集まり、縁結びや運命に関する会議が行われると伝わる。
神等去出祭(からさでさい):旧暦10月17日頃
出雲を後にする神々を見送る儀式。神在月の締めくくり。
これらの行事は観光客でも見学可能な場合がありますが、一部の時間帯や場所では一般参拝が制限されることがあります。
また、神事の進行を妨げないように、静かに振る舞うことやカメラの使用に注意が求められる場面もあります。
神迎祭が行われる夜は特に混雑が激しく、スムーズな参拝が難しいこともあるため、落ち着いて参拝したい方には避けるべき日として意識されることがあります。
❖ 例祭日や大祭期間中の特別対応
出雲大社では、毎年5月14日に**例祭(れいさい)**が行われます。
これは出雲大社の中でも最も重要な祭礼とされ、特別な神事が執り行われます。
この日には、通常の参拝作法と異なり、「拍手の回数が変わる」などの特別な所作が指定されることがあります。
例えば、一般的な出雲大社の参拝では「二礼四拍手一礼」が基本ですが、例祭中は「八拍手」が推奨されるなど、細かな違いが出ることがあります。
また、大祭期間中は神楽殿や本殿への通路が一時的に規制される場合もあるため、通常の参拝を希望する方にとっては「避けた方がよい日」となる可能性があります。
ただし、これらの神事を見学したい・特別な雰囲気を体感したいという方にとっては、むしろ「行くべき日」でもあるため、自分の目的に応じて判断するとよいでしょう。
このように、出雲大社では神在月や例祭日など、一般の参拝とは異なる空気が流れる特別な日が存在します。
参拝そのものが禁止されるわけではありませんが、神事の尊重、混雑回避、落ち着いた雰囲気の中でのお参りを望む方にとっては、「避けるべき日」として意識する価値があるでしょう。
❹ 結局いつ避けるべき?参拝に適したタイミングと判断基準
ここまで見てきたように、「出雲大社に行ってはいけない日」とされる根拠の多くは、迷信や風習、あるいは神事に伴う特別な意味合いを持った日です。では、実際に参拝を避けるべきタイミングはあるのでしょうか?ここでは、実用的な視点も踏まえて、参拝の判断基準を整理していきます。
❖ 神社の公式見解:特に禁止される日はない
まず大前提として知っておきたいのは、出雲大社を含む多くの神社では、「この日は参拝してはいけない」と公式に定めている日はないということです。
神道には仏教のような「戒律」がなく、「凶日」「不浄の日」といった概念も基本的には存在しません。六曜や不成就日といった暦注も、あくまで民間の迷信的要素であり、神社側の方針や神道の教義とは無関係です。
実際、出雲大社の神職も「参拝に不適切な日は特にありません。ご自身の心が整ったときに、安心してお参りください」と案内しており、公式には特定日を避けるよう推奨されてはいません。
❖ 迷信を重視する場合の判断ポイント
とはいえ、風習や迷信に価値を感じる方も多く存在します。「大切な祈願の日だからこそ縁起を担ぎたい」「祖父母から“仏滅は避けなさい”と教わってきた」というように、心情的に気になる方もいらっしゃるでしょう。
そうした場合には、以下のような要素を考慮して参拝日を決めるのがおすすめです。
六曜での吉日(大安・友引など)を選ぶ
→ 縁起を重視したい場合、六曜カレンダーをチェックしておくと安心感が得られます。
不成就日・赤口を避けたいときは正午前後を狙う
→ 赤口は「午の刻(11時~13時)のみ吉」とされているため、信じる方はこの時間帯が無難です。
喪中・忌明けなどは気持ちを優先
→ 宗教的制約はないため、体調や心の整理がついたタイミングでの参拝で問題ありません。
迷信に従うかどうかは自由ですが、自分自身が「この日で良い」と思えることが最も大切です。不安が残るまま参拝しても、せっかくの神聖な体験に集中できないかもしれません。
❖ 混雑や行事重なりによる“実用的な避け日”も考慮
「行ってはいけない日」という言葉には、迷信だけでなく“現実的な不便さ”という意味合いも含まれています。
特に以下のような時期は、混雑や行事によって参拝しづらくなる可能性が高いため、避けることを検討してもよいでしょう。
神在月(旧暦10月頃)
→ 全国から神々が集まる神聖な月。神事が集中するため、部分的に立ち入り制限あり。観光客も多い。
例祭日(5月14日)・大祭期間
→ 本殿周辺が一時的に立ち入り禁止になることも。拍手の所作が変化することもある。
初詣(正月三が日)や大型連休(GW、年末年始)
→ 混雑が激しく、静かな気持ちでの参拝が難しい。待ち時間や周囲の騒がしさが気になる方には不向き。
逆に、「静かに落ち着いて参拝したい」という方には、**平日午前中(9時前後)**の参拝がもっともおすすめです。この時間帯は観光客も少なく、神社の静寂をじっくり感じることができます。
「行ってはいけない日」は、迷信・風習・神事・混雑といった要素が複雑に絡み合って生まれたものです。
どの要素を重視するかは人それぞれ異なります。
大切なのは、自分が心地よく参拝できる日を選ぶこと。
そしてその一日に、感謝の心を込めること。それこそが、もっとも良き参拝の在り方なのではないでしょうか。
❺ 出雲大社の参拝マナーと心得:行ってはいけない“行為”にも注意
「行ってはいけない日」が明確に定められていないとはいえ、出雲大社のような由緒ある神社を参拝するうえでは、守るべきマナーや避けるべき行為がいくつか存在します。
知らずに失礼な振る舞いをしてしまうと、神様に対して無礼となるばかりか、周囲の参拝者にも不快な印象を与える可能性があります。
ここでは、出雲大社を参拝する際に特に注意しておきたいマナーと心得を解説します。
❖ 参道の中央を歩かない理由
神社の参道には「正中(せいちゅう)」と呼ばれる中央の通り道があります。この中央部分は、**神様が通る道(神道)**とされており、一般の参拝者が歩くのは避けるのが礼儀です。
出雲大社でもこの作法は大切にされており、参道を歩く際はできるだけ端を歩くように心がけましょう。鳥居をくぐるときも、無言で通り抜けるのではなく、一礼してからくぐるのが基本的な礼儀です。
なお、参拝後に帰るときも、鳥居の外に出る前には一礼するのが望ましいとされています。これらは特別に難しいルールではありませんが、神様に敬意を表す気持ちを形にする大切な所作です。
❖ 二礼四拍手一礼の正しい方法と例祭時の変化
多くの神社では「二礼二拍手一礼」が一般的な参拝作法ですが、出雲大社では独自の形式である**「二礼四拍手一礼」**が採用されています。
これは、拍手の回数を**通常の倍である「4回」**にすることで、より深い敬意と感謝を表すとされています。参拝の際には、この作法を正しく実践することが、出雲大社ならではの礼儀とされています。
さらに、例祭や特別な神事が行われる際には、**八拍手(はちはくしゅ)**と呼ばれる形式が採用されることもあります。これは神様に対する最大限の感謝と畏敬を込めた所作で、参拝の際に神職が案内してくれることもあります。
このように、出雲大社には独自の参拝作法が存在するため、事前に確認しておくと安心です。
❖ 服装・言動・写真撮影:参拝者としての基本姿勢
神社は神聖な場所であり、参拝に訪れる際の服装や態度にも節度が求められます。観光の一環とはいえ、カジュアルすぎる服装や派手なファッション、過度な香水などは場にそぐわない場合があります。
また、大きな声での会話やスマートフォンを見ながらの参道歩行、混雑時の割り込みなども避けたい行為です。出雲大社は観光客も多く訪れる場であるため、周囲への配慮と落ち着いた所作がとくに求められます。
さらに、本殿や拝殿など一部の場所では写真撮影が禁止されていることもあります。神職や案内表示に従い、撮影してよい場所・タイミングを守ることが重要です。
「神様に会いに行く」という気持ちを持ち、自らの内面と向き合う静かな時間として参拝をとらえると、自然とふるまいにも品が生まれるはずです。
神社で最も大切なのは、マナーの形式だけではなく**「敬意を持った心のあり方」**です。形式を知ることは大切ですが、最終的には「どう神様に向き合いたいか」という姿勢が参拝の質を決めます。出雲大社という特別な場だからこそ、静かに、誠実に向き合いたいものです。
❻ まとめ:迷信と配慮のバランスで参拝を楽しもう
「出雲大社に行ってはいけない日」は、本当に存在するのでしょうか?ここまでの記事を通して見てきたように、六曜や不成就日、神在月や例祭など、参拝を控えたほうがよいとされる日にはいくつかの説や背景が存在します。
しかし結論としては、出雲大社が公式に「参拝を禁止する日」は存在せず、基本的にはいつ訪れても問題はありません。
ただし、長年語り継がれてきた迷信や風習の中には、一定の意味や配慮が込められていることも事実です。神在月には神々の集まりが行われ、例祭では特別な神事が執り行われるなど、参拝に際して意識すべきポイントは確かにあります。また、六曜や喪中といった俗信も、気になる人にとっては心理的な影響があるかもしれません。
大切なのは、「自分自身が納得できる気持ちで参拝できるかどうか」です。迷信を重んじるも良し、気にせず自由に訪れるのも良し。いずれにしても、神様に敬意を払い、心静かに向き合う姿勢こそが最も大切な参拝の在り方ではないでしょうか。
もし参拝時期に迷ったら、以下の関連記事も参考にしてみてください。
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