出雲大社の境内から少し足を伸ばすと、ただならぬ「気」を放つ場所があります。
それが、**命主社(いのちぬしのやしろ)と真名井遺跡(まないいせき)**です。
神秘的なムクノキの大樹、古代の磐座信仰が色濃く残る神社、そして弥生時代の遺物が出土した遺跡。
出雲神話や古代史に興味のある方にとっては、まさに必見のスポットです。
この記事では、命主社と真名井遺跡の魅力と、出雲の神話に秘められたパワーをご紹介します。
命主社(いのちぬしのやしろ)とは?造化三神「神皇産霊神」を祀る出雲の古社
正式名称は「神魂伊能知奴志神社(かみむすびいのちぬしのかみのやしろ)」
命主社は、出雲大社の北東約140メートル、北島国造館のすぐ近くに位置する境外摂社です。
ここに祀られているのは、神皇産霊神(かみむすびのかみ)。
この神様は「天地開闢(てんちかいびゃく)」の際に現れた三柱の神、いわゆる造化三神の一柱で、命を生み出す神とされています。
命主社の社殿は、巨大な岩の前に建てられており、これは古代の磐座(いわくら)信仰の名残。
自然の中に神が宿るとされた日本古来の神道の形が、今も色濃く残る神社なのです。
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出雲大社の重要な神事にも関わる格式の高い社
命主社は、元日の朝に行われる出雲大社の「大御祭」の後、国造以下の神職が参向して祭典を斎行するという、非常に由緒ある神社でもあります。
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案内板によると「元旦の朝には出雲大社の大御祭に引続き国造以下神職参向の許、厳かに祭典が斎行されます。」と記されています。
神話に登場する神皇産霊神 (かみむすびのかみ)の物語
神皇産霊神は、大国主命(おおくにぬしのみこと)が命を落としかけたときに、彼を救ったとされる神です。
大国主命が八上比売(ヤガミヒメ)と結ばれたことで、兄弟たちの嫉妬を買い、命を狙われた際、母の刺国若姫(さしくにわかひめ)が神皇産霊神に助けを求めました。
その結果、ウムギヒメ(蛤の神)とキサガイヒメ(赤貝の神)が遣わされ、大国主命は蘇生しました。
この神話により、神皇産霊神は「命を守る神」として古来より信仰されているのです。
案内板にもあるように「大国主大神が多難に遭われた際には常にお護りされ国造りの大業を助成された神です。」と記されてます。
ムクノキの大樹|圧巻の生命力に圧倒されるパワースポット
命主社を訪れると、まず目に飛び込んでくるのが、樹齢1,000年ともいわれるムクノキの大樹です。
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樹高:約17m
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幹回り:約12m
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島根県指定の「銘樹(めいじゅ)」に認定(1976年(昭和51年))
根の張り方や木肌の力強さから、自然のエネルギーを直接感じると評判のこの木は、訪れる多くの人にとってまさにパワースポットとなっています。
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真名井遺跡(まないいせき)|弥生時代の遺物が語る、出雲と古代国家のつながり
命主社の裏手には、神秘の遺跡「真名井遺跡」があります。
この遺跡は、1665年(寛文5年)の出雲大社御造営の際に、大石を切り出していたところ、偶然発見されたものです。
発見された遺物
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銅戈(どうか):北部九州産の青銅製の武器(弥生時代)
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硬玉製勾玉(こうぎょくせいまがたま):新潟・糸魚川産のヒスイと推定
この2点は、天孫降臨神話における「三種の神器」のうち、剣と玉に該当すると考えられており、出雲が古代日本の重要な祭祀拠点であったことを示唆しています。
出雲と古代日本の広域ネットワーク
銅戈が北部九州、勾玉が北陸・糸魚川のものと推定されることから、弥生時代の出雲には広域交易ネットワークが存在していたと考えられています。
これらの出土品は現在、出雲大社宝物殿に展示されており、重要文化財にも指定されています(1953年(昭和28年) 指定)。
アクセスと見学のポイント
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命主社・真名井遺跡は出雲大社の東側、北島国造館から徒歩すぐの場所にあります。
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参拝や見学は自由ですが、静かに敬意を持って訪れるようにしましょう。
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ムクノキの根元は立ち入り禁止エリアがあるため、案内に従ってください。
まとめ|命主社と真名井遺跡は出雲大社の隠れた聖地
出雲大社とあわせてぜひ訪れていただきたい、命主社と真名井遺跡。
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造化三神を祀る神聖な神社
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命のエネルギーを感じるムクノキの巨木
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出雲の神話と古代国家を結ぶ考古学的価値の高い遺跡
観光地としてだけでなく、出雲の歴史と信仰を体感できる貴重なスポットです。
出雲大社にお越しの際は、ぜひ足を伸ばしてみてください。
命主社 周辺情報
摂社名:命主社(いのちぬしやしろ)
正式名:神魂伊能知奴志神社 (かみむすびいのちぬしのかみのやしろ)
御祭神:神皇産霊神(かみむすびのかみ)
住所:島根県出雲市大社町杵築東185
※ 出雲大社・北島国造館から約140m(徒歩約2分)
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北島国造館から東に140mほどで「命主社」の入口に、こちらの道案内が設置されてます。