出雲大社(島根県出雲市)を参拝する際、多くの方がまず向かうべき場所が「祓社(はらえのやしろ)」です。
しかし、なぜこの祓社を最初に参拝する必要があるのでしょうか?
本記事では、地元・出雲大社に詳しい視点から、祓社とその周辺にある「祓橋(はらえのはし)」の意味や役割について、詳しく解説します。
祓社(はらえのやしろ)とは?出雲大社の参道で最初に立ち寄る神社
出雲大社の正門にあたる「勢溜(せいだまり)の鳥居(二の鳥居)」をくぐり、下り参道を進むと、右手にひっそりと佇むのが「祓社」です。
見落としがちな場所にありますが、実はこここそが出雲大社参拝のスタート地点ともいえる重要なスポットなのです。
この下りの参道は「下り参道」と呼ばれていて、出雲大社の特徴の一つになります。
全国でも珍しいこの「下り参道」を通ると、なぜか不思議に空気感が変わってきます。
この下り参道の中ほどの右手には、祓社(はらえのやしろ) があります。
そして、下り参道を終えると、祓橋(はらえのはし) がみえます。
神社といえば、山の中腹や高台にあり、上り坂の参道を歩いて本殿にたどり着くのが一般的です。 ところが、出雲大社はそれとは逆で、参道が下り坂になっているという珍しい構造を持っています。 このような「下り参道(くだりさんどう)」は、日[…]
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なぜ「祓社(はらえのやしろ)」を最初に参拝するのか?
その理由は、祓社に祀られている神々のご神徳にあります。
祓社には「祓戸四柱の神(はらえどよはしらのかみ)」と呼ばれる四柱の神様が祀られており、参拝者の「罪(つみ)」や「穢れ(けがれ)」を祓い清める役割を担っています。
「祓社」は、下り参道の中ほどの右手にある出雲大社の摂末社。
下り参道に気を取られていると「祓社」に気づかない参拝者さんもみかけますので、必ずご確認をお願いします。
祓戸四柱の神とは?それぞれの神の役割
「祓社」の御祭神は、祓戸四柱の神 (はらえどよはしらのかみ) が祀られています。
「祓戸四柱の神」それぞれの神(一神)としては、
- 瀬織津比咩神(せおりつひめのかみ):人の罪や穢れを早川の瀬で浄めて海へと流す神
- 速開都比咩神(はやあきつひめのかみ):海に流された人の罪や穢れを、海の底で飲み込む神
- 気吹戸主神(いぶきどぬしのかみ):その罪や穢れを、強風を生み出し根の国・黄泉の国へ吹き払う神
- 速佐須良比咩神(はやさすらひめのかみ):根の国・黄泉の国に持ち込まれた人の罪や穢れを消し去る神
これら四柱の神々により、段階的に清められることで、心身ともに浄化され、神様に向き合う準備が整うのです。
もうひとつの祓社は神楽殿の近くにも
実は、出雲大社の境内にはもうひとつ「祓社」があります。
神楽殿の正面入り口、駐車場から入ってすぐ右手にある小さなお社で、こちらも祓戸四柱の神が祀られています。
駐車場から入る場合は、こちらの祓社に先にお参りするのもおすすめです。
↑ ↑ ↑ 出雲大社・神楽殿の正面入り口
その正面入り口を入ると、すぐ右手には「祓社」があります。
下り参道の「祓社」と同様に、祓戸四柱の神 (はらえどよはしらのかみ) が祀られています。
案内板には、御祭神・由来は「心身の罪汚を祓い清めて清々しい神の御心を戴けるようにして下さる神々です(抜粋)」と記されていてます。
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祓橋(はらえのはし)とは?素鵞川と聖なる清め
下り参道を進みきると見えてくるのが「祓橋(はらえのはし)」です。
この橋の下を流れているのは、出雲大社の背後にそびえる八雲山から湧き出る「素鵞川(そががわ)」。
素鵞川は神聖な川とされており、この橋を渡ることでも罪穢れを清めるといわれています。
つまり、出雲大社では、「祓社の参拝」と「祓橋を渡ること」によって、二重の浄化が行われるのです。
祓社と祓橋で心身を整えてから本殿へ
出雲大社は「縁結びの神」として知られる大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀っています。
そのご神徳を最大限に受け取るためには、まず心身を整えることが重要です。
その第一歩が、祓社と祓橋を通じて行う「禊(みそぎ)」なのです。単に形式的なものではなく、古来から続く神道の教えに根ざした、重要な儀式です。
まとめ|出雲大社の参拝は祓社から始めよう
出雲大社の祓社では、祓戸四柱の神により、参拝者の罪や穢れが丁寧に浄められます。
そして、下り参道の終点にある祓橋を渡ることで、聖なる川・素鵞川の力によってさらに清めが加わります。
この2つの清めを経てこそ、出雲大社の本殿へと心静かに向かうことができるのです。
ぜひ出雲大社を訪れる際は、祓社からの参拝をお忘れなく。
心身を整えてから神様に祈りを捧げることで、より深いご利益が授かれるかもしれません。
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