出雲大社には年間600万人の参拝者がお越しになりますが、気になるのが参拝ルートです。
出雲大社では御本殿を中心に右回り(反時計回り)に参拝するといわれます。
でも、なぜ出雲大社の参拝では「御本殿(八足門)から右回り」なのでしょうか?
そのわけを出雲大社の地元、大社町民の私と仲間と一緒に調べてみました。
ご参考になれば幸いです。
- 1 出雲大社の参拝ルートは右回りのわけは?
- 2 出雲大社の境内図
- 3 出雲大社の参拝ルート案内(15か所)
- 4 北島国造館(きたじまこくぞうかん)の紹介
- 5 出雲大社参拝ルートのよくある質問4件
出雲大社の参拝ルートは右回りのわけは?
出雲大社の参拝ルートは右回りといわれますが、WEBで検索しても理由を詳しく書かれているサイトは見当たりませんでした。
そのため推測になりますが調べた結果、大しめ縄をみて多分そうだと感じた内容になります。
出雲大社の大しめ縄は「左方が綯い始めで、右方を綯い終り」とする張り方をされています。
これは、一般の神社とは異なり、出雲大社では「神様に向かって左方を上位、右方を下位」とされているからです。
このことを参拝ルートに置き換えると、神様に向かって「下位~上位に参拝する(右から左)」が参拝ルートになると存じます。
そのため、出雲大社では御本殿を中心に右回り(反時計回り)に参拝することになります。
神社神道では、神様に向かって右方を上位、左方を下位としますので、一般的に神社では上位の右方が綯い始めで、左方を綯い終りとする張り方となっております。
しかし出雲大社では古来、他の神社とは反対に神様に向かって左方を上位、右方を下位としていました。
当初思っていた以上に、参拝ルート(右回り)は大事な内容になりますので、事前にご確認をお願いします。
【紹介記事】出雲大社の参拝方法は?一般的な作法と異なるわけとは?
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出雲大社の境内図
(出典:出雲大社 公式HP)
出雲大社の境内図には記載されてませんが、出雲大社の正門(二の鳥居/勢溜)から神門通りの南300メールほど先に「一の鳥居」があります。
出雲大社の参拝ルート案内(15か所)
「一の鳥居」から境内図を参考に参拝ルートを確認すると、主だったご参拝先は13か所になります。
1. 一の鳥居
2. 二の鳥居
3. 祓社(はらえのやしろ)
4. 三の鳥居
5. 手水舎(てみずや)
6. 四の鳥居
7. 拝殿(はいでん)
8. 八足門(やつあしもん)
9. 東・十九社(じゅうくしゃ)
10. 素鵞社(そがのやしろ)
11. 本殿西・遥拝場(ようはいじょ)
12. 西・十九社(じゅうくしゃ)
13. 神楽殿(かぐらでん)
そして、御参拝時のタブーやマナーを纏めてますので、是非ご確認くださいませ。
【紹介記事】出雲大社でのタブーは?マナーなどの情報まとめ
1. 一の鳥居
「一の鳥居」は、出雲大社から南に300メール、堀川をまたぐ宇迦橋(うがばし)の近くにあります。
とても大きな鳥居ですが、その高さは、出雲大社の御本殿を超えない高さとされ約23メートルです。
そして、出雲大社の正門(二の鳥居/勢溜)までが、神門通りになります。
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出雲大社の門前(神門通り)
大正3年に、新たな出雲大社の参道として整備されたのが、現在の神門通りです。
そして同時期に、神門通りとともに建てられた鳥居が「一の鳥居」になります。
現在の神門通りは、平成の大遷宮(平成20年~31年)にあわせて整備をされ、通りには石畳を敷き詰めて風情を引き立てています。
2. 二の鳥居(出雲大社正門)
「二の鳥居」は、出雲大社の正門と呼ばれています。
そして現在の「二の鳥居」は鉄製の鳥居ですが、以前は木製の鳥居として出雲大社の正門にありました。
その木製の鳥居は老朽化と安全性などを考慮し、平成の大遷宮の一環として2018年10月に建て替えになりました。
勢溜(せいだまり)
出雲大社の「二の鳥居」をくぐると、左右に大きな広場があり「勢溜(せいだまり)」と言われます。
この広場は、江戸時代において芝居小屋や出店などが並び、静粛な境内とは異り賑やかな場所であったそうです。
その頃から、参拝者の勢いが溜まる場所として「勢溜(せいだまり)」と呼ばれてます。
下りの参道
「二の鳥居」からは「三の鳥居」までは、下りの参道になります。
この下りの参道を歩くと空気感が一変し、普段とは異なるの空気感を心身に感じるます。
とても、不思議な感覚になります。
3. 祓社(はらえのやしろ)
勢溜の後、下り参道の途中右側に「祓社(はらえのやしろ)」があります。
この社には、祓井神(はらいどのかみ)が祀られ、参拝者の心身についた穢れ(けがれ)を清めてくれます。
出雲大社の参拝には、とても重要なポイントになります!
詳しい情報(祓社)は、こちらの記事をご参考にお願いします。
【紹介記事】出雲大社の祓社! 最初に参拝をすることが大事と伝えられるわけとは?
祓橋(はらえのはし)
「祓橋(はらえのはし)」は、素鵞川(そががわ)にかかる橋です。
素鵞川は、出雲大社の背後にある禁足地とされる八雲山(やぐもさん)から流れる清流です。
「祓社」での参拝、そして「祓橋」を渡ることで、二度も「参拝者の心身を清めます」。
祓橋を渡ると、さらに神の領域に近づくことを意味しています。
4. 三の鳥居(松の参道)
祓橋を渡ると、「三の鳥居」と「松の道」があります。
その松は、樹齢400年を越える貴重な松になり、松の道では、両端の道を歩きます。
松と松との間の道は、貴重な松の保護のため通行禁止です。
そのため、三の鳥居では鳥居の前で一礼して「松の道」の左右両側の道を歩きます。
御慈愛の御神像(因幡の白兎)
三の鳥居・松の参道を過ぎて左手には「御慈愛の御神像」があります。
「御慈愛の御神像」とは、皮をむかれて傷ついたうさぎに、大国主大神が手を差し伸べ助けたと伝わる「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」のシーンを表したものです。
ムスビの御神像
三の鳥居・松の参道を過ぎた右側には「ムスビの御神像」があります。
「ムスビの御神像」とは、ある日突然、大国主大神の前に光(幸魂奇魂・さきみたま くしみたま)という「魂」が現れました。
大国主大神は神になる修行中の頃で、苦難が繰り返すなか「幸魂奇魂」のおかげで知識・経験などを身につけられました。
その結果、誰からも尊敬される神・「ムスビの大神」として称されるまでに至ったシーンを表現されてます。
5. 手水舎(てみずや)
古来より水は洗い流すものとされ、手水舎では、人の罪と穢れ(けがれ)を流すといわれます。
祓社と祓橋では、心身についた穢れを清めました。
そして、手水舎では「両手と口の中を清めます」。
出雲大社でも、手水舎での作法は一般的です。
- 柄杓(ひしゃく)を右手に持ち、水を汲み、左手にそそぎ清めます。
- 柄杓を左手に持ち替えて、同じように、水を汲み、右手にそそぎ清めます。
- 再び、柄杓を右手に持ち、水を汲み、一口分の水を左手で受けます。
- 左手で受けた水で、口の中を清めます。
- そして、左手にそそぎ清めます。
- 最後に、柄杓を立てながら、残った水を柄杓に伝わして、柄杓と右手を清めます。
- 柄杓には、口をつけない。
- 口の中を清めた水は、水盤に入れない。
- 両手と口の中を清めた後は、ハンカチなどは使わない。
- 清めた手で、頭などを触らない。
6. 四の鳥居(銅の鳥居)
最後にあるの鳥居は「四の鳥居」になり、銅の鳥居とも呼ばれています。
この銅の鳥居は、1666年(寛文6年)に長州藩2代藩主の毛利綱広公から寄進されたものです。
そして銅の鳥居には「素戔嗚尊者雲陽大社神也」とあり時代背景を表す重要な文字が刻まれてます。
国の重要文化財にも指定されてますので、御参拝時には是非ご確認ください。
一礼して鳥居をくぐり、いよいよ拝殿に向かいます。
なお、銅の鳥居に触れても金運が上がる話はございません。
【紹介記事】出雲大社でのタブーは?マナーなどの情報まとめ
7. 拝殿(はいでん)
四の鳥居をくぐると、目の前に「拝殿」があります。
拝殿は戦後最大の木造神社建築ともいわれ、1963年(昭和38年)に建立されています。
拝殿の後方には、大国主大神が鎮座する御本殿(八足門)がありますので、拝殿の参拝後は右から後方にすすんでください。
8. 八足門(やつあしもん)
拝殿から御本殿までの間には、八足門(やつあしもん)・楼門(ろうもん)、そして御本殿となります。
一般の参拝では、八足門から御本殿に向かって参拝します。
特別の日(お正月三が日など)やご祈祷などでは八足門から入り、楼門から御本殿に向かって御参拝ができます。
ここからは御本殿を「右回り」に参拝します(お忘れないように)。
9. 東・十九社(じゅうくしゃ)
八足門を右手に進むと、すぐに「東・十九社(じゅうくしゃ)」が見えます。
十九社は境内の東と西にあり、東側を「東・十九社」、西側を「西・十九社」と呼ばれてます。
この十九社は旧暦の10月、神在祭(かみありさい)の期間中、八百万の神々がくつろがれる宿所です。
また、この期間では十九社の扉が開けられています。
【紹介記事】 出雲大社の十九社・じゅうくしゃ! 神様の宿所として扉が開くのはいつ?
10. 素鵞社(そがのやしろ)
東・十九社から本殿の裏手に進むと「素鵞社(そがのやしろ)」があります。
この素鵞社では「スサノオノミコト」が祀られ、出雲大社の境内のなかでもパワーが強いと言われます。
そして「お清めの砂」との交換や「八雲山の岩肌」「御本殿を裏手から参拝」などでも知られています。
お清めの砂(稲佐の浜の砂と交換)
素鵞社の軒下には「清めの砂(お守りの砂)」があり、稲佐の浜の砂と交換できます。
詳しい情報は、こちらの紹介記事にてご確認ください。
【紹介記事】出雲大社の砂はどこで交換できるの?方法や手順のまとめ
八雲山の岩肌(やぐもさん)
「素鵞社」の後ろには、八雲山の岩肌がせり出しています。
八雲山は聖なる山(禁足地)として、一般の人は入山することができません。
素鵞社では、聖なる山(八雲山)の岩肌に触れることができる唯一の場所です。
御本殿の後方からの姿
「素鵞社」は出雲大社境内の最北に位置していて、御本殿の裏手のようすが伺えます。
御本殿に最も近くで拝見することができるので、御参拝される方も多いです。
【紹介記事】出雲大社の素鵞社! パワースポット(岩など)で知られるわけとは?
11. 本殿西・遥拝場(ようはいじょ)
御本殿を囲む西側には本殿西・遥拝場(ようはいじょ)があり、出雲大社の御参拝では重要なポイントの一つです。
本殿の内部中央には心御柱(しんのみはしら)という太柱があり、御本殿内では心御柱を中心に時計回りにまわり御神座に至る構造になります。
そのことにより御神座は、本殿の正面ではなく西を向かれています。
そのため、本殿西・遥拝場からの参拝は「御神座の正面」からお参りすることができます。
御本殿の西側にある遥拝場は、とても重要なポイントの一つです!
12. 西・十九社(じゅうくしゃ)
御本殿を囲むように右回りに参拝を進め、最後の参拝は西・十九社(じゅうくしゃ)です。
西の十九社は東の十九社と同様に神在祭(かみありさい)の期間中に全国の八百万の神々がくつろがれる宿所です。
【紹介記事】 出雲大社の十九社・じゅうくしゃ! 神様の宿所として扉が開くのはいつ?
13. 神楽殿(かぐらでん)
御本殿を右回り参拝をして八足門の近くまで戻ると、西側の素鵞川を渡った先に「神楽殿」があります。
現在の神楽殿は、出雲大社教の特立100年をお迎えした1981年(昭和56年)に、現在の神楽殿に建て替えをされました。
そして千家國造家の大広間、出雲大社・出雲大社教の神楽殿として御祈祷や結婚式をはじめ、様々な祭事や祭典が執り行われています。
神楽殿は大注連縄(おおしめなわ)でも広く知られますが、長さ13メートル、重さは5.2トンにもなります。
北島国造館(きたじまこくぞうかん)の紹介
出雲大社の参拝ルートとは異なりますが、八足門の東側には「北島国造館(きたじまこくぞうかん)」があります。
地元では北島国造館のことを「北島さん」と親しく呼び、出雲教の総本院でもあります。
北島国造館には美しい滝があり、心が落ち着く庭園(國造邸庭園) が広がっています。
そして庭園には、竜虎の庭(りゅうこのにわ)・心字池(しんじいけ)・亀の尾の瀧(かめのおのたき) があり、静寂な静けさと心身ともに癒される時間を過ごすことができます。
また、北島国造館のお守りは、白無垢を感じる「白守」をはじめ刺繍が丁寧でお洒落なデザインのお守りが多いです。
是非、北島さん(北島国造館)にもお立ち寄りをお願いします。
【紹介記事】北島国造館「白いお守り」とは? 北島さんのお洒落なお守りはこちら!
出雲大社参拝ルートのよくある質問4件
1.出雲大社の参拝の順番は?
一の鳥居から神門通りをとおり二の鳥居がある出雲大社正門から入り、その後拝殿まで参拝をすすめます。
そして、拝殿の後方の八足門から右回りに参拝をします。
2.出雲大社を回るのにどのくらい時間がかかりますか?
出雲大社正門(二の鳥居)から参拝をすすめる場合は、約40分~60分前後になります。
3.出雲大社のタブーは何ですか?
肌を露出が多い服装やサンダル履き、松の参道は左右の道を歩く、しめ縄にはお賽銭を投げないなどになります。
4.出雲大社の中に入ることはできますか?
出雲大社の本殿には入れませんので、八足門から御本殿に向かっての参拝になります。
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